エンジニアとしての試験に、情報処理技術者試験があります。 情報処理技術者試験は、エンジニアになる者にとっては、国内最大規模で開催される国家試験です。
しかし、弁護士になるなら司法試験に、公認会計士になるなら公認会計士試験に、それぞれ合格した者でなけれれば、そもそもそのものになれないというような「資格」認定の試験ではありません。たとえこの試験を受けない者であっても、エンジニアになることはできます。経済産業省はこの試験を「能力」認定の試験としています。
また、ITエンジニアとしての名称も、たとえば「プロジェクトマネージャ試験」の合格者でなくとも、「プロジェクトマネージャー」などの名称も自由に名乗ることができます。
2009年度から実施されている試験区分は、スキルによって、大きく次の4つに分かれて、次のような試験があります。
1)ITパスポート試験(スキルレベル1)
2)基本情報技術者試験(スキルレベル2)
3)応用情報技術者試験(スキルレベル3)
4)高度情報処理技術者試験(スキルレベル4)
ITストラテジスト試験
システムアーキテクト試験
プロジェクトマネージャ試験
ネットワークスペシャリスト試験・データベーススペシャリスト試験
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
情報セキュリティスペシャリスト試験
ITサービスマネージャ試験
システム監査技術者試験
情報処理技術者試験は,昭和44年(1969年)に開始されて以来、裾野の広がる情報システム活用のための試験として、その役割を拡大してきましたが、 1990年代半ばに起きたインターネットをはじめとした急激な技術革新の波により、新技術がどんどん生まれ,また高度化してくるに連れ、現在では「時代に取り残されてしまっている」などとの批判がなされています。
この他にも、「プロマネを取得したからといって実際の業務でプロマネは務まるわけではない」「実務を反映していない」、「日進月歩に進歩する技術分野であるにもかかわらず、更新の必要がないため、合格がいつまでも通用することになる」、「実践現場においては、ほとんど役に立たない」などの疑問が、多くの人たちによって投げかけられています。
その一方で、「システムを総合的に見通す力を付けることに関してはプラスの効用がある」、「専門用語で仕事を進められるようになるためにも最低限必要」「初級からベテランまで,企業間にまたがる情報処理技術者のスキルを客観的に評価する尺度として用いることができる」など、この試験の役割と存在意義を認める声もあります。