公認会計士や弁護士といった,資格がないとそもそも活動できないような業種とは違って、IT系エンジニアは、資格がないと、それそのものなれないという仕事ではありません。
実際の求人欄を見てみると、
テスト・品質管理リーダー業務案件/PM、もしくは、PLの経験者(チームメンバ10名程度)/50万~55万円
PHP開発支援案件/PHPでの開発経験2年以上/50万~55万円
医療系システム改修案件/C#.net最低3年以上/50万~55万円
新聞社向けシステム開発/Java Struts開発経験/~53万円
コンシューマ向けWebサイト開発/Java・Seasar2での開発経験/65万円
総務系システム開発/C#.NET、Oracle11gでの開発経験/~50万円
ソーシャルアプリ立ち上げPJのPM業務/Objective-C か、PHPいずれかの経験・5名以上のチームでのPM経験・ソーシャルアプリ立ち上げの経験/~80万円
携帯向けクーポン配信システム/Java Struts webシステム開発経験/60万~65万円
Windowsサーバーセットアップ業務/Windowsサーバーの構築経験/~53万円
料金計算システム改修/Unix C++開発経験/~50万円
業務系システム開発/vb.net開発経験、基本設計経験/~55万円
と、資格を述べているものは、ほとんどありません。そうです・・・エンジニアとして、要求されるのは、ほとんど「経験」であることが分かります。
しかし、誰でも最初は未経験です。経験が必要だというのならば、いつまでも未経験のままです。だから未経験者として応募して、採用してもらって、経験者になっていくしか方法がありません。
この「経験を経ること」こそが、エンジニアとなるために、最初に乗り越えなければならない壁と言えるものです。「エンジニアになりたい」のであれば、まず経験者になるための1歩を踏み出さなければなりません。
しかし、企業側にとっては、未経験者の場合、何を判断材料に採用を決めたらいいのか分かりません。そうした場面において、資格が強い武器になることには間違いはありません。
資格を持っているということは、採用する企業側に対し、「とにかく何がなんでも一端のエンジニアになっていきたい」との大きなアピールになっていることは、紛れもない事実です。
「資格を持っている=実践の場で仕事ができる人」でないことは、企業側も恐らく承知です。しかし、少なくとも資格を持っている人ならば、まったくの新人であっても、専門用語ぐらいは理解できることは、期待できます。
資格は、この「未経験者→経験者」になるための、きっかけになるものと言えます。 実際に、企業の求める実践の場でのスキルと資格との間には、大きな差が見られることはよくあることなのです。
資格を取ることによって得た知識も、使う場所がないようなことばかりだったり、実際に必要な範囲と、資格取得を通して知ったことの間には、ギャップだらけだったりもします。
また、1つのハードウエアやソフトウエアについての理解のし方についても、その掘り下げ方には、個人によって、大きな差があります。 「その資格持っているからと言って、実際何ができる?」というような場面は多々あることなのです。
IT業界の仕事の範囲は広く、個々の事案によってもかなり異なるところもあり、資格が実践の場をすべて網羅しているものではありません。
エンジニアの世界は、資格よりも経験がものを言う世界です。少しでも多く、いい経験を積み重ねていくことこそ大事です。